前回の記事から多くの反響をいただき、全国の皆さんから温かい応援のメッセージが届いています。本当にありがとうございます。
しかし、状況は一向に改善していません。それどころか、出雲市は今年度3月末日をもってマリンタラソ出雲を休止することを決定しました。
今日は、前回お伝えしきれなかった、より深刻な利用者たちの実態をお話しさせてください。これは単なる「施設の閉鎖」ではありません。人の命と尊厳に関わる問題なのです。
「ここがなければ、私は生きていけない」~利用者たちの切実な声~
ケース1:63歳男性・脳動脈瘤を抱えながらの闘い
63歳の男性は、脳に動脈瘤を抱えています。医師からは「激しい運動は避けるように。血圧の急激な上昇は命に関わる」と厳しく警告されています。
陸上でのランニングやウェイトトレーニングは禁止。しかし、何もしなければ筋力は衰え、健康は悪化する一方です。
その方にとって、マリンタラソ出雲の温かい海水プールでの水中ウォーキングは、唯一許された運動方法でした。
「水の中なら、血圧も上がりにくいし、体への負担も少ない。ここで運動することで、健康を保てているのです。ここがなくなったら、その先どうすればいいのか…」
その方の声は震えていました。医師の指示に従いながら健康を維持する場所が、突然奪われようとしているのです。
ケース2:67歳男性・広島から移住してまで求めた「最後の希望」
この方の話を聞いた時、私は言葉を失いました。
また、”脊髄小脳変性症”という病と闘っている男性がいます。思うように体が動かなくなってしまったり、病気が進行すると言語障害に陥ります。
通常の治療では進行を遅らせることしかできません。
その男性は、何とか病と闘おうと全国の海洋療法施設を調べ上げ、やっと見つけたのが海洋療法(タラソテラピー)のマリンタラソ出雲でした。
タラソテラピーには筋肉の機能維持に一定の効果があることが知られています。
そして、その方は広島から出雲市に移住してきたのです。
「妻と二人、住み慣れた広島を離れるのは簡単な決断ではありませんでした。でも、タラソテラピーならリハビリができる。そう信じて、すべてを賭けて出雲に来たんです。」
移住して3年。少しずつ病状の進行は緩やかになりました。毎日マリンタラソ出雲に通い、海水の浮力と温かさに包まれながらリハビリを続けてきた成果です。
「市の方針で休止と言われても、私はどうすればいいんでしょうか。また広島に戻れというのでしょうか。やっと生活の基盤を作ったのに、これは私の人生を否定されたのと同じです」
男性の表情を見ると、私は胸がしめつけられる思いです。
人生を賭けて移住してきた人の、最後の希望を奪おうとしているのが、今の出雲市の決定なのです。
ケース3:一人暮らしの高齢者たち・「ここだけが私の居場所」
74歳の女性、78歳の男性、87歳の女性、マリンタラソ出雲には、独り暮らしの高齢者が数多く通っています。
その方たちは、配偶者を亡くし、子どもたちは遠方に住み、日常的に話し相手がいません。一日誰とも会話しない日もあるといいます。
「朝起きて、マリンタラソ出雲に行く。それだけが私の生きる理由なんです」
87歳の女性はそう言いました。
「ここに来れば、必ず誰かがいる。『おはよう』『今日も元気だね』そんな何気ない会話が、どれだけ嬉しいか。一人暮らしの寂しさは、経験した人にしか分からないと思います」
マリンタラソ出雲は、私たちにとって単なる運動施設ではありません。生きる理由、生きがい、そして孤独を忘れられる唯一の憩いの場なのです。
87歳の女性は、こう続けました。
「夫を亡くしてから、食事もろくに取らなくなって、生きる気力を失っていました。でも、マリンタラソ出雲で仲間と出会って、また笑えるようになった。『また明日ね』その約束があるから、今日を生きられるんです」
休止が決まってから、彼女の表情は日に日に暗くなっています。再び孤独の闇に引き戻されることへの恐怖が、彼女を苦しめているのです。
出雲市の判断は「行政による切り捨て」ではないのか
美しい公約と現実の乖離—「誰もが笑顔になれるまち」の嘘—
出雲市は総合振興計画「出雲新話2030」で、こう宣言しています。
「『出雲力』で夢☆未来へつなげ 誰もが笑顔になれるまち」
そして、基本理念として次の3つを掲げています。
- 「だれもが」みんなが活躍するまちづくり
- 「どこでも」地域の魅力を生かしたまちづくり
- 「いつまでも」持続可能なまちづくり
さらに、計画の中では「人生100年時代における健康意識の高まり」に対応すると明記し、6つの基本方針すべてに「ともに」という言葉を入れて、市民との協働を謳っています。
では、実際はどうでしょうか?
マリンタラソ出雲の休止決定は、この美しい公約のすべてを裏切っています。
- 「誰もが笑顔になれるまち」→ 利用者から笑顔と生きがいを奪っています
- 「人生100年時代の健康意識の高まり」→ 健康維持施設を閉鎖しています
- 「ともに」創る・守る・支える→ 利用者との対話を拒否し、一方的に決定しています
- 「だれもが活躍する」→ 高齢者の活躍の場を奪っています
- 「いつまでも持続可能な」→ 計画的な維持管理を怠り、施設を放棄しています
これは公約違反ではないでしょうか?
立派な計画書を作り、美しい言葉を並べながら、実際には高齢者を切り捨てる。この矛盾に、誰も疑問を持たないのでしょうか?
市長は無投票で再選されましたが、マリンタラソ出雲の休止については選挙前に一言も触れていませんでした。市民に信を問うことなく、静かに決定を進める。 これが「ともに創る」まちづくりの姿なのでしょうか。
説明責任の完全放棄
市は「老朽化」と「財政難」を理由に挙げています。しかし、市からの回答は形式的な文書を提示し、2回の説明会を実施したという事実のみで、納得のいく内容のものではありません。
私たちと話し合いの機会を持とうともしてくれません。
市長、副市長の対面を強く望んでも、私たちの声を聴く姿勢は一切ありませんでした。
これは民主主義国家の行政の姿でしょうか?
税金を納め、利用料を払い続けてきた市民に対して、一方的な通告だけで施設を閉じる。これが許されるのであれば、明日は図書館が、公民館が、保育園が、同じように閉じられるかもしれません。
代替案の提示ゼロ
さらに深刻なのは、市は、休止の一点張りで、代替案を一切提示していないことです。
「近場のた施設に行けばいい」、「自宅で自己管理をすればいい」そんなことを言ってきたのです。
脳動脈瘤を抱えた男性は、どこで運動すればいいのでしょうか?
難病を抱えて移住してきた男性は、どこでタラソテラピーを受けられるのでしょうか?
独り暮らしの高齢者たちは、どこで人と繋がればいいのでしょうか?
「休止します」と言うだけで、その後の人々の生活について何も考えていない。
これは行政の責任放棄です。
一般的なスポーツクラブやプールでは、彼らのニーズは満たせません。海洋療法の専門施設は全国でも限られており、山陰地方ではマリンタラソ出雲が唯一の存在なのです。
経済効果を無視した判断
市は「財政難」を強調しますが、マリンタラソ出雲が生み出してきた経済効果を正当に評価したのでしょうか?
- 医療費の削減効果:利用者の多くが健康を維持し、医療機関への通院が減少しています
- 観光資源としての価値:県外からの利用者も多く、宿泊や飲食など地域経済に貢献
- 雇用の創出:施設スタッフ、関連業者など、多くの雇用を生み出してきました
- 移住促進効果:広島からの移住者のように、施設を理由に出雲に移り住む人もいます
これらを総合的に計算すれば、修繕費用を上回る価値があることは明白です。しかし、市はそのような試算を公表していません。
全国の皆さんへ—これは日本全体の問題です
あなたの町でも起こりうる悲劇
出雲市で起きていることは、決して特殊なケースではありません。全国の自治体が同じジレンマを抱えています。
- 人口減少による税収の減少
- 高齢化による社会保障費の増大
- 公共施設の老朽化
この三重苦の中で、多くの自治体が「削れるものから削る」という短絡的な判断をしています。そして、その犠牲になるのは、常に声を上げにくい高齢者や弱者なのです。
「人生100年時代」は誰のためのスローガンか
政府は「人生100年時代」を掲げ、健康寿命の延伸を推進しています。しかし、その実現に不可欠な施設を、地方自治体は次々と閉鎖しています。
この矛盾に、誰も疑問を持たないのでしょうか?
マリンタラソ出雲のような施設こそが、健康寿命を延ばし、医療費を削減し、高齢者が生き生きと暮らせる社会を実現する基盤なのではないでしょうか。
シニア世代の権利を守るために
私たちシニア世代は、これまで日本の高度経済成長を支え、税金を納め続けてきました。その私たちが、老後に健康で尊厳ある生活を送る権利を求めることは、わがままなのでしょうか?
いいえ、これは当然の権利です。
私たちは贅沢を求めているのではありません。健康を維持するために必要な、最低限の環境を守ってほしいと言っているだけなのです。
私たちは闘い続ける。そして、あなたの力が必要です
なぜ、ここまでして訴えるのか
前回の記事の反響を受けて、何人かの方から「もう諦めたら?」という言葉もいただきました。
しかし、私は諦められません。
脳動脈瘤を抱えながら必死に健康を維持している63歳の男性を見捨てられません。
人生を賭けて広島から移住してきた男性の希望を踏みにじることはできません。
独り暮らしの高齢者たちの、唯一の生きがいを奪うわけにはいきません。
これは、人として、あまりにも理不尽だと思うからです。
あなたに今、してほしいこと
全国の皆さん、どうか力を貸してください。
1. この記事をシェアしてください
SNSで、家族や友人に、職場の仲間に、一人でも多くの人にこの問題を知ってもらうことが、最初の一歩です。
ハッシュタグ:#マリンタラソ出雲を守ろう #高齢者の権利を守れ #出雲市は説明責任を果たせ #マリンタラソを存続させる会
2. 出雲市に意見を届けてください
出雲市は「誰もが笑顔になれるまち」、「ともに創る」まちづくりを公約に掲げています。ならば、その公約を守るよう求める声を届けましょう。
全国からの声が集まれば、市も無視できなくなります。出雲市のホームページには意見投稿フォームがあります。
「マリンタラソ出雲の休止を見直してほしい」、 「公約に掲げた『誰もが笑顔になれるまち』を実現してほしい」 、「利用者との対話を求めます」
このような一言でも構いません。ぜひ声を届けてください。
3. メディアに情報を提供してください
記者の方、ジャーナリストの方、この問題を取り上げていただけませんか?全国ニュースで報道されれば、世論を動かす力になります。
4. 国会議員に働きかけてください
地方の問題は、国の問題でもあります。高齢者福祉、公共施設の維持管理について、国会でも議論してほしいのです。
4ヶ月後の未来を変えるために
来年4月まで、残された時間はわずか4ヶ月です。
しかし、私は信じています。多くの人の心が動けば、不可能は可能になると。
脳動脈瘤を抱えた男性が、安心して運動を続けられる未来。
広島から移住してきた男性が、希望を持って病と闘える未来。
独り暮らしの高齢者たちが、笑顔で「また明日ね」と言い合える未来。
その未来を、私たちの手で掴み取りたいのです。
出雲市の皆さんへの期待と問いかけ
出雲市の職員の皆さん、市議会議員の皆さん、そして市長、副市長。
あなた方が掲げた「誰もが笑顔になれるまち」という公約を、もう一度思い出してください。
マリンタラソ出雲で毎日笑顔で過ごしていた私たちは、「誰もが」の中に入っていないのでしょうか?
「人生100年時代における健康意識の高まり」に対応すると言いながら、健康維持施設を閉鎖するのは矛盾ではないでしょうか?
「ともに」創る、「ともに」守る、「ともに」支えると謳いながら、私たちとの対話を拒否するのはなぜでしょうか?
あなた方も、いつか年を重ねます。あなた方の両親も、祖父母も、高齢者です。
彼らが困っている時、行政は冷たく突き放すのでしょうか?
立派な計画書を作るだけで、実行が伴わないなら、それは市民への裏切りです。
どうか、利用者の声に耳を傾けてください。一度でいい、私たちと向き合って話し合ってください。一緒に解決策を探しませんか?
民間委託、クラウドファンディング、広域連携、全国には成功事例があります。
「できない」と最初から諦めるのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考えてほしいのです。
最後に—希望を捨てない
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
マリンタラソ出雲の問題は、一つの施設の存続という枠を超えて、「高齢者が尊厳を持って生きられる社会とは何か」という根本的な問いを私たちに投げかけています。
私たちシニア世代は、決して社会のお荷物ではありません。私たちにも、健康で文化的な生活を送る権利があります。そして、その権利を守るために、私たちは声を上げ続けます。
あと4ヶ月。短い期間ですが、奇跡は起こせると信じています。
どうか、私たちと一緒に闘ってください。
あなたの一つの「いいね」、一つのシェア、一つのコメントが、誰かの命を救い、誰かの希望を繋ぐことになるかもしれません。
マリンタラソ出雲が、これからも多くの人の笑顔であふれる場所であり続けるために。
全国の同じような問題を抱える施設と人々にとって、希望の光となるために。
共に歩んでください。
【連絡先】
ハッシュタグ:#マリンタラソ出雲を存続させる会 #高齢者の権利を守れ
- 出雲市への意見投稿:出雲市公式ホームページ「市民の声」フォーム
- このブログへのコメント・情報提供も大歓迎です
※この記事を読んで心を動かされた方は、ぜひシェアをお願いします。一人でも多くの人に、この問題を知ってもらいたいのです。
【追記】読者の皆さんへのお願い
前回の記事以降、多くの応援メッセージをいただきました。「うちの地域でも同じことが起きている」「どう闘えばいいか教えてほしい」という声も多数届いています。
この問題は、出雲だけのものではありません。だからこそ、全国で連帯し、声を上げ続けることが大切だと思います。
コメント欄では、皆さんの地域の状況や、成功事例の情報共有も歓迎します。一緒に学び、一緒に闘っていきましょう。


