「これまで歩んできた人生を、何かの形で残しておきたい」
「自分史を書いてみたいけれど、何から書けばよいのか分からない」
そんなふうに思ったことはありませんか?
自分史というと、生まれてから現在までの出来事を順番に書き綴った、長くて立派な本を想像する方もいらっしゃるでしょう。
しかし、最初から人生のすべてを書こうとする必要はありません。
まずは心に残っている出来事を一つずつ書き出し、あとからつなぎ合わせていけばよいのです。

60代まで歩んできた人生には、仕事、結婚、子育て、家族との思い出、人との出会い、趣味、学び、挑戦など、たくさんの物語があります。
自分では「特別な人生ではない」と思うかもしれません。しかし、あなたの経験が家族にとってかけがえのない記録になったり、同じ悩みを持つ人の励みになったりすることがあるのです。
この記事では、自分史を初めて書く方でも人生を振り返りやすいように、「人生の棚卸し」ができる7つの質問と記入例をご紹介します。
空いた時間を利用して、紙やノート、パソコン、スマートフォンのメモなどに、答えやすい質問から書いてみてください。
自分史を書く前に「人生の棚卸し」をしてみよう

人生の棚卸しとは、これまで経験してきた出来事や、そのときに感じたこと、そこから学んだことなどを振り返り、整理する作業です。
難しく考える必要はありません。
例えば、次のようなことも立派な人生の一場面です。
- 子どもの頃に好きだった遊び
- 学生時代に夢中になったこと
- 一生懸命勉強したことや、夢中になって学んだこと
- 初めて就職した日のこと
- 結婚や子育ての思い出
- 仕事で苦労したこと
- 自分の人生を大きく変えた人との出会いや関わり
- 家族との絆を改めて感じた瞬間
- 家族と出かけた場所
- 長く続けている趣味
- 病気や困難を乗り越えた経験
- これから挑戦したいこと
最初からきれいな文章にまとめようとすると、何を書けばよいのか迷ってしまいます。
まずはメモや箇条書きで、思い出した言葉や出来事を書き出してみましょう。詳しく文章にするのは、その後で大丈夫です。
時系列に沿って書く必要もありません。思い出したことや、書きやすいところから始めてみましょう。
Reonアルバムを引っ張りだして見ると、懐かしくてつい手が止まってしまうこともあります。。。
質問1 子どもの頃、夢中になったことは何ですか?
子どもの頃に好きだったことは、大人になった今も変わらない「自分らしさ」の原点になっている場合があります。
遊び、習い事、読書、工作、スポーツ、音楽など、時間を忘れるほど夢中になったことはありませんか?
家族から何度も聞かされた、自分の幼い頃の話でも構いません。
<記入例>
- 子どもの頃は、本を読んだり、ノートに文章を書いたりすることが好きでした。人前で話すことは得意ではありませんでしたが、自分の考えを文章にすることは好きで、書き始めると自然に言葉が浮かんできました。
- 中学生のとき、卓球の全国大会に出場しました。チーム一丸となって、「倒れてもいい」と思うほど全力で試合に臨み、長いラリーに打ち勝った瞬間は一生忘れません。
質問2 これまでの人生で、一生懸命頑張ったことは何ですか?
仕事、勉強、資格取得、家事、子育て、介護、地域活動など、これまで一生懸命取り組んだことを振り返ってみましょう。
「大きな成果を上げた」「賞を取った」といった特別な実績でなくても大丈夫です。
毎日家族の食事を作ったこと、仕事と子育てを両立したこと、苦手なことを一生懸命勉強したことも、立派な経験です。
<記入例>
- 子どもが小さかった頃は、仕事をしながら家事や子育てに追われ、心も体もクタクタになる毎日でした。このままでは続かないと思い、何もかも完璧にしようとするのをやめました。ときには上手に手を抜きながら、無理なく続けるための工夫をして乗り切りました。
- ゲーム感覚で子どものしつけをする方法や、遊びながら勉強を好きになってもらう方法を考えました。振り返ってみると、仕事、家事、子育てという限られた時間の中で、私なりによく頑張っていたと思います。この経験を、今子育てをしている若い世代の方にも伝えたいです。
質問3 人生を大きく変えた人との出会いはありますか?
人生を振り返ると、自分の考え方や生き方に大きな影響を与えてくれた人がいるのではないでしょうか。
家族、友人、先生、職場の上司や同僚など、その人との出会いが人生の転機になることがあります。
実際に会った人だけでなく、本や講演を通して影響を受けた人でも構いません。
その人と、いつ、どこで出会ったのか。どのような言葉をかけてもらったのか。そして、その出会いによって自分の考え方や行動がどのように変わったのかを書いてみましょう。
<記入例>
- 自分に自信が持てなかったとき、「あなたには、人に分かりやすく伝える力がある」と言ってくれた人がいました。その言葉が、新しいことへ挑戦する勇気を与えてくれました。
- 私は40代の頃、ある方の講話を聞いたことをきっかけに、感謝の気持ちを言葉にして伝えるようになりました。すると、自然と謙虚な気持ちで人と向き合えるようになり、その考え方が後の仕事や家族との関係にもよい影響を与えてくれました。

質問4 家族との絆を改めて感じた瞬間はありますか?
楽しい時間を一緒に過ごしたときだけでなく、困ったときに助けてもらったことや、家族で力を合わせた経験から、絆を感じることがあります。
普段は照れくさくて伝えられない感謝の気持ちも、自分史の大切な一場面になります。
<記入例>
- とてもつらい思いをしたとき、家族が何も言わずにそばにいてくれました。そのとき、一人で頑張っているつもりでも、私はずっと家族に支えられてきたのだと気づきました。
- 県外に住んでいる息子とは、普段あまり連絡を取り合うことがありません。その息子が温泉旅行をプレゼントしてくれ、「今の自分がいるのは両親のおかげ」と感謝の気持ちを伝えてくれたことが、とてもうれしかったです。
大きな出来事だけでなく、家族で囲んだ食卓、毎年の行事、一緒に出かけた場所なども思い出してみましょう。
何気ない日常の中にも、大切な家族の物語があると思います。
質問5 人から感謝されたことは何ですか?
自分では当たり前だと思っていることが、ほかの人にとっては大きな助けになっている場合があります。
家族、友人、同僚、受講生などから言われて、うれしかった言葉を思い出してみましょう。
<記入例>
- 「ゆっくり何度も説明してもらえたので、苦手だったパソコン操作が私にもできるようになりました」と言っていただいたことがあります。その言葉をいただき、初心者の気持ちに寄り添って伝えられることが、自分の強みなのだと改めて気づきました。
自分の強みが分からないときは、人からよく頼まれることや、「ありがとう」と言われたことを思い出してみてください。
自分にとっては簡単にできることの中に、まだ気づいていない強みが隠れていることがあります。
質問6 長く続けてきた仕事や趣味は何ですか?
仕事だけでなく、料理、旅行、写真、園芸、手芸、読書、温泉巡りなど、こだわりを持って続けてきたことも、自分史の大切なテーマになります。
長く続けてきたことには、自分なりの工夫や、人に伝えられる知恵が蓄積されています。
<記入例>
- 温泉やサウナを巡ることが好きで、出かけるたびに施設の特徴や周辺の景色を楽しんできました。心も体も元気になる時間として、これからも大切にしたい趣味です。
- 俳句や短歌が好きで、これまでに詠んだ作品がたくさんあります。作品を作ったときの出来事や気持ちと一緒に、形にして残したいと思っています。
始めたきっかけ、続けている理由、うまくいかなかった経験、自分なりに工夫していることなども書いてみましょう。
長く続けてきたからこそ分かることは、同じ仕事や趣味を始めたい人にとって役立つ情報になります。
質問7 これから挑戦したいことは何ですか?
自分史は、過去を振り返るだけのものではありません。
これまでの人生を整理することで、やり残したことや、これから成し遂げたいことが見えてきます。それは、今後どのような人生を送りたいのかを考えるきっかけにもなります。
行ってみたい場所、始めたい趣味、学びたいこと、会いたい人などを書き出してみましょう。
<記入例>
- これまでの経験を文章にまとめ、同じように一歩を踏み出せずにいる人の背中を押したいです。年齢を理由に諦めず、新しい学びにも挑戦していきたいと思います。
- 若い頃、英会話を習って海外旅行に行きたいという夢がありました。これから英会話を学び、いつか同年代の方にも教えながら、一緒に海外旅行を楽しみたいです。
- 私はパッチワークが得意なので、いつか自宅で小さな教室を開きたいです。
大きな目標でなくても構いません。
「家庭菜園を始めたい」「昔の写真を整理したい」「新しい習い事を始めたい」など、考えると心が少し明るくなることを書いてみましょう。

7つの回答から、一番書きたい経験を選ぼう
7つの質問に答えたら、書いた内容をゆっくり読み返してみましょう。
その中から、次のどれかに当てはまる経験を一つ選びます。
- 今でも当時の様子をはっきり覚えている
- 誰かに伝えたいと思う
- その経験から学んだことがある
- 書いていると、ほかの思い出も浮かんでくる
- 自分の得意なことを誰かに教えたいと思う
立派な経験や、大きな出来事を選ぶ必要はありません。
「家族にかけてもらった一言」「仕事でうれしかったこと」「趣味を始めたきっかけ」など、身近な経験で大丈夫です。
選んだ経験を3つに分けて考えよう
書きたい経験を一つ選んだら、次の3つについて考えてみましょう。
- 何があったのか
いつ頃、どこで、誰と、どのような出来事があったのかを書きます。 - そのとき、どう感じたのか
うれしかった、悔しかった、不安だった、ほっとしたなど、そのときの気持ちを書きます。 - その経験から何を学んだのか
その出来事によって、自分の考え方や行動がどのように変わったのかを書きます。
この3つがそろうと、単なる出来事の記録ではなく、自分の思いが伝わる物語になります。
3つの内容を、一つの文章にしてみよう
次の形に当てはめると、最初の文章を書きやすくなります。
私は、______という経験をしました。
そのとき、______と感じました。
この経験から、______ということを学びました。
例えば、パソコンを教えた経験なら、次のように書けます。
<記入例>
私は、パソコンが苦手な方に操作を教えたことがあります。
最初は「私にはできません」と不安そうでしたが、一つずつ操作できるようになると、表情が明るくなっていきました。
この経験から、初心者の方には、急がせず、その人のペースに合わせて伝えることが大切だと学びました。
これだけでも、自分史の大切な一場面になります。
最初の文章が書けたら、そのときの場所、相手の表情、交わした言葉、自分が悩んでいたことなどを少しずつ付け加えてみましょう。
すべてを書く必要はありません。思い出せることを一つ加えるだけでも、当時の様子が伝わりやすくなります。
一つの経験を書けたら、次の経験へ進もう
最初から自分の人生すべてを書こうとすると、何から始めればよいのか分からなくなります。
まずは、7つの質問から選んだ一つの経験を書いてみましょう。一つ書けたら、次に書いてみたい経験をもう一つ選びます。
例えば、次のような順番で書きためることができます。
- 人生を変えた人との出会い
- 一生懸命学んだこと
- 家族との絆を感じた瞬間
- 長く続けてきた仕事や趣味
- これから挑戦したいこと
このように一つずつ書きためていくと、少しずつ自分の人生の物語が見えてきます。
書いた経験に共通するものが、自分史のテーマになる
いくつかの経験を書いたら、そこに共通していることを探してみましょう。
例えば、次のような共通点が見つかるかもしれません。
- 人との出会いに支えられてきた
- 家族を大切にしてきた
- 学ぶことを諦めなかった
- 人に教えることを続けてきた
- 何歳になっても挑戦してきた
この共通点が、自分史のテーマになります。
例えば、「何歳になっても挑戦してきた」という共通点が見つかった場合は、60代からでも、新しいことに挑戦できると伝えたいというテーマで自分史をまとめることができます。
最初にテーマが決まらなくても心配はいりません。
経験を一つずつ書いていくうちに、自分が本当に伝えたいことが見えてきます。
あなたの経験は、誰かの役に立つことがある
「私の人生には、本にするほどの出来事はありません」
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自分にとっては当たり前の経験でも、同じことで悩んでいる人にとっては、知りたかった情報や心を支える言葉になることがあります。
子育てで悩んだ経験、仕事を続けるために工夫したこと、家族との絆、人との出会い、学び続けたこと、趣味の楽しみ方。
大切なのは、出来事の大きさではありません。
その経験から何を感じ、何を学んだのかを、自分の言葉で伝えることです。
書きためた経験は、家族に残す自分史だけでなく、同じ悩みを持つ方に読んでもらうKindle本としてまとめることもできます。
60代から自分の経験をKindle本にする方法については、↓こちらの記事でご紹介しています。

まとめ|今日、あなたの物語の最初の一行を書いてみませんか?
今回は、7つの質問を使って人生を振り返り、自分史を書き始める方法をご紹介しました。
質問に答えた後は、次の順番で進めてみましょう。
- 一番書きたい経験を一つ選ぶ
- 何があったのかを書く
- そのときの気持ちを書く
- その経験から学んだことを書く
最初から、長くて立派な文章を書く必要はありません。
まずは、次の3行から始めてみてください。
私は、______という経験をしました。
そのとき、______と感じました。
この経験から、______ということを学びました。
あなたが「当たり前のこと」と思っている経験も、家族にとっては初めて知る大切な物語かもしれません。
そして、同じことで悩んでいる誰かにとっては、前を向くための言葉になるかもしれません。
「いつか書こう」と思っているだけでは、大切な記憶は少しずつ遠ざかってしまいます。
今日、紙やノートを一枚用意して、7つの質問から気になるものを一つ選んでみませんか?
書く時間は、10分でも構いません。
思い浮かんだ出来事を一つ、自分の言葉で残してみましょう。その小さな一歩が、あなただけの自分史の始まりです。
これまで歩んできた人生には、あなただからこそ書ける物語があります。
今日、その物語の最初の一行を書いてみませんか?



